REPORTvol.3-2

シリーズ【リアルガチルポ】「白いカキフライ、ガチ開発の現場より」第2回異次元に美味しいカキフライをつくるには「海の味」を把握すべし、の巻

食材のよさについて語る平山友美研究員

このカキフライは食材のよさを引き出す反面、ごまかすことができません。ゆえに、本当に美味しい牡蠣でなければ成立しない(フードプロデューサー・平山友美研究員)

東京を代表するとんかつの名店「成蔵(なりくら)」の店主で、牡蠣食う研メンバーの三谷成蔵研究員が作り上げた“白いカキフライ”を広島県内の飲食店に“実装”する本プロジェクト。

牡蠣食う研では、11月21日の「カキフライの日」から23日の「牡蠣の日」の3日間に渡り、シリーズ【リアルガチルポ】「白いカキフライ、ガチ開発の現場より」と題して、3名の研究員の証言をもとに、研究の進捗状況をご報告いたします。

第2回目となる今回は「揚げ研究」について。平山友美研究員のレポートでございます。

(取材/牡蠣食う研 平山友美研究員)

「カキフライを白く揚げることは簡単です…難しいのは味のバランス」

平山友美研究員のキッチンスタジオにて牡蠣を揚げる
牡蠣を揚げている音を聞いているだけで幸せになるのはナゼ

シリーズ【リアルガチルポ】「白いカキフライ、ガチ開発の現場より」の第2回目は、広島市内にあるフードプロデューサー平山友美研究員のキッチンスタジオからお送りいたします。実はこちら、牡蠣食う研メンバーが集まり、様々な開発や議論を行っているラボでもあります。平山研究員は、東京・阿佐ヶ谷の「成蔵」さんでの研究以来、“白いカキフライ”を広島の街に実装させるべく、こちらで研究を続けていらっしゃいます。

カキフライ研究をする平山研究員
県外出張のあったこの日。
帰宅早々、カキフライ研究をする平山研究員
牡蠣食う研
牡蠣食う研

「本日は平山研究員の研究状況を確認したくお邪魔いたしました。先にパン粉の開発&調達チームの話を聞いた感じでは、かなりよい状況のようでした」

平山研究員
平山研究員

「そうですね。パン粉は試作用として、非常にいいものをすでに私たち調理チームにもご提供いただいています。今回のカキフライ研究を通じて、パン粉にこだわるだけで、これほど揚げ物の“性格”がかわるものなのかと実感しているところです」

特製パン粉を牡蠣につけている平山研究員
この日も、試作用に業者さんにつくっていただいた
特製パン粉をつかっておりました
平山研究員
平山研究員

「パン粉は『成蔵』さんとほぼ同じようなものを使い、油も腸間膜油ではないけれども、比較的手に入りやすいラードを使用。油の温度も三谷研究員に言われた温度で揚げています」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「ということは、再現も間近ということでしょうか?」

平山研究員
平山研究員

「いえ。ほぼ同じような材料、やり方でやっているのですが、なかなか同じようにはなりません。三谷研究員は、揚げに特化したプロ中のプロですからね。とにかく難しいのは、このカキフライの作り方をマニュアルに落とし込むこと。一般のお店に実装するためには、ある程度マニュアル化しなければいけないのですが、三谷研究員の一流の技術と経験を言語化してまとめるのが、とても難しい」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「たしかに。三谷研究員の技が簡単にコピペできたら、それこそどこでもできちゃいますから…」

平山研究員
平山研究員

「ええ。あのレシピを再現すること自体が技術的に難しいのは当然のこと、広島に戻って研究を続けていると別の問題にも気付かされました」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「別の問題、でございますか?」

平山研究員
平山研究員

「はい。牡蠣には相当個体差があること。また、使用するパン粉や油のコンディションも相当、出来に左右するということ…諸々です。ですから結局は『揚げる人の感覚に拠る』ところが大きい料理とも言えるかもしれません。まぁ、試しに揚げてみたので、食べてみましょうか」

インタビューに答えつつ、カキフライを揚げていた平山研究員
インタビューに答えつつ、カキフライを揚げていた平山研究員

そして揚がったカキフライがこちら。

見た目はかなりいい感じです。

白くて剣立ちのいいカキフライ
白くて剣立ちのいいカキフライです。あぁ、美しい
牡蠣食う研
牡蠣食う研

「これは…かなり白いですね。そして、いい感じに揚がっているようにも見えますが」

平山研究員
平山研究員

「低糖度のパン粉を使い、低温で揚げると白くはなるんです。こうやって白く仕上げること自体は、そこまで難しくはないのですが…」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「ですが、の後が気になります(苦笑)」

平山研究員
平山研究員

「白さを優先させるがあまり、油の温度を下げて長時間揚げれば、牡蠣に十分熱が入っていなかったり、衣がベチョっとなったりするんですね。つまり、このカキフライは見た目と味のバランスが非常にとりづらい」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「しかし、平山研究員が揚げたものはカラッとしているように見えます」

平山研究員
平山研究員

「はい、これは揚がっていますね。白さをキープしつつ、このように揚げるのも結構難しいもので(ここまでできるようになるのも苦労しました)。実は、味も悪くないんですよ。それなりに美味しい。ただ、『これは違う食べ物だな』という異次元感、もしくは驚きがないんですよね。いつも食べているカキフライの、ちょっと美味しいもの、というレベルです」

食材のよさについて語る平山友美研究員
自ら揚げたカキフライを試食した後、
「美味しいんですけど、ちょっと違うんですよ…」と漏らす平山研究員
牡蠣食う研
牡蠣食う研

「まだまだ目指しているレベルには達していないと」

平山研究員
平山研究員

「そうですね。あとこの揚げ方は食材、つまり牡蠣のよさを引き出す反面、ごまかすことができません。ゆえに、本当に美味しい牡蠣でなければ成立しないと思います。そして素材のよさをいかに引き出すかが重要になってくるので、この方法を極めていくと、必然的に包む食材(=牡蠣)と向き合う必要が出てくると思っています」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「牡蠣と向き合わなければ完成しないということですね」

平山研究員
平山研究員

「はい。どんな生産者さんが、どのような養殖方法をとっているのか。海域の塩分濃度やその他環境についてもちゃんと聞き取りをして、牡蠣を育てている海の味をまず自分の中で把握することがとても大事になってくるでしょう。ですから、そこまでやれる気概のある飲食店の方から、まずやっていくことになるのかもしれません」


「牡蠣と向き合う」「生産者さんの声に耳を傾ける」――平山研究員が最後に語ったのは技術論ではなく、料理人としての心持ちのお話でした。そして平山研究員自身、今、牡蠣と向き合いつつカキフライ研究を続けております。すでに美味しいカキフライにはなっていますが、「まだ異次元に達していない」という平山研究員。“白いカキフライの伝道師”が目指している頂は、まだまだ高いようです。

撮影:阪本 剛史


今回の牡蠣食う研究

観光客がさすが広島!ってうなっちゃうような、驚くほど美味しいカキフライを広島に標準装備インストールしよう!

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担当研究メンバー