REPORTvol.3

大崎上島産牡蠣の缶詰と高級茶葉を合わせて新メニューを開発しよう、の巻

大崎上島産牡蠣の缶詰と高級茶葉を合わせた新メニュー

牡蠣のアミノ酸は、絶対に茶葉と相性がいいはずなんです…!(バーテンダー・野間真吾)

2020年秋、大崎上島の牡蠣生産者「ファームスズキ」から発売された、牡蠣燻製オイル漬けの缶詰。この味を茶葉の力でアップグレードしたいという研究員が現れました。なぜ、茶葉なのか。そして牡蠣×茶葉、本当に美味しいのでございましょうか。その相性やいかに。舞台は広島市中区のオーセンティックバー「The Bar TOP NOTE Ⅲ」。突如、華麗なる夜の食実験が開幕いたしました…!

(取材・文/牡蠣食う研 鈴木隆 野間真吾)

牡蠣×茶葉=寿司×シャンパン!?これって本当でしょうか…

突然ですが、本日の牡蠣食う研は海にはいません。広島市中区紙屋町のオーセンティックバー「The Bar TOP NOTE Ⅲ」にお邪魔しています。なぜ、瀬戸内の海を愛する私どもが、広島市のド真ん中、広島県庁にほど近いアーバンな空間をうろうろしているのか。実はこちらに伺ったのには、とある事情がございまして…。

「さあ、入りましょう牡蠣食う研さん」

柄オン柄にも程がある鈴木隆研究員
柄オン柄にも程がある鈴木隆研究員
牡蠣食う研
牡蠣食う研

「ボーダー×牡蠣殻×レモン!柄オン柄の魔術師とは鈴木研究員のことですね…!今日はお誘いありがとうございます」

本日牡蠣食う研を招集したのは、大崎上島で牡蠣と車海老を生産する「ファームスズキ」の鈴木隆研究員。彼が広島市内のお洒落なバーで待ち合わせをしているお相手とは…。

「お待ちしておりました(染みわたるようなテナーボイスで)」

今日もスタイル抜群の野間真吾研究員
今日もスタイル抜群の野間真吾研究員

この方、牡蠣食う研公式バーテンダーとして、さまざまな研究に味覚の面からアドバイスを下さっている、野間真吾研究員です。こちら「The Bar TOP NOTE Ⅲ」は野間研究員の城。高い天井と作りこまれた調度品、まるで異世界に入り込んだかのような雰囲気が漂う本格志向のオーセンティックバーでございます。

鈴木研究員
鈴木研究員

「野間研究員、今日はありがとうございます。持ってきましたよ、茶葉入り牡蠣缶詰!」

野間研究員
野間研究員

「こちらも準備万端整っております。さあ、さっそく試食と参りましょう…!」

本日のお題はこちらでございます!

牡蠣燻製のオイル漬け(手前)と水煮(奥)
牡蠣燻製のオイル漬け(手前)と水煮(奥)の2種類

「コロナ禍や震災にも強い、持ち運びできる常温の海産物を作りたい」そんな思いで鈴木研究員が開発した「ファームスズキ」の牡蠣缶詰。牡蠣食う研では昨夏、大崎上島にてこちらの商品の試食を行ったのですが、その際、野間研究員より「この牡蠣をぜひ茶葉と合わせたい」という声が上がりまして。以後、鈴木・野間両研究員の間で秘密裏に茶葉のやり取りが行われ、現在、世界に一つだけの「茶葉入り牡蠣燻製缶詰」が試作中なのでございます。そして本日は、その第1回試食会が開催されるのでございます…!

ってことで突然、隣の、オイスター!パカッ。

茶葉の分量を変えて3種類の牡蠣缶詰
茶葉の分量を変えて3種類の牡蠣缶詰を試作
牡蠣食う研
牡蠣食う研

「こ、これはっ!………ヒジキ…ですね?(なわけはない)」

野間研究員
野間研究員

「(華麗にスルー)ああ、油に入れるとこのような感じになるんですね。これはラプサンスーチョンという茶葉なんです。紅茶の茶葉を松の葉で燻して作るもので、中国は福建省で生産されています。非常に強い香りが特徴です」

缶に入れる前の状態のラプサンスーチョンという茶葉
これが缶に入れる前の状態。独特の薫香がある
鈴木研究員
鈴木研究員

「野間研究員から指示いただいたとおり、0.5g、1.0g、1.5gと茶葉の量を変えて3種類の缶を用意しました。牡蠣を桜のチップで燻製したものをコットンオイルと一緒に漬け、茶葉を入れて今2週間経ったところです。コットンオイルは香りがないので、茶葉の香りがよく移るんじゃないかと思うんですよね」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「なるほど。加熱殺菌のために圧力をかけたりはされているのでしょうか?」

鈴木研究員
鈴木研究員

「缶詰に封をした後、100℃で54分、120℃で4分の加熱殺菌を行っています。僕もまだ茶葉を入れた状態のものは食べていないのでとても楽しみです…!特に1.5gはかなりの量だったので、どんな味になっているのか気になりますね」

野間研究員
野間研究員

もしかするととんでもなく美味しいかもしれません…(震えるほどいい声で)」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「ところで野間研究員、改めてお聞きしたいのですが、なぜ牡蠣の燻製オイル漬けに茶葉を合わせるのでしょうか。正直、あまりイメージにないのですが…?」

鈴木研究員
鈴木研究員

「それは僕も気になりました。どうして牡蠣と茶葉が合うって思ったんですか?」

野間研究員
野間研究員

「もともと、紅茶葉を料理に使うことはけっこうあるんです。特にこのラプサンスーチョンは、松の葉で燻すことで茶葉の発酵を促しているので、燻製とは相性がいいだろうなと思いました。それに、魚介は紅茶と相性がいいんです。最近寿司シャンって言いませんか?

寿司シャン…。

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「寿司酢で…シャンプー…ですかね?地肌に良さそうといえば良さそうです!」

野間研究員
野間研究員

「フフフ冗談がお上手で…(いい声で苦笑)。お寿司をシャンパンと一緒に楽しむことなんです。シャンパンやスパークリングワインは熟成過程で酵母と長期間接触されるので、通常のワインよりも旨味成分であるアミノ酸がたっぷり含まれているという特徴があります。寿司ネタの多くはアミノ酸系のうま味を持つ魚介類なので、泡とよく合うんですよ。これと同じ考えでいくと、牡蠣のアミノ酸は、絶対に茶葉と相性がいいはずなんです…!紅茶もアミノ酸が豊富に含まれていますから」

果たして野間研究員のこの予言、当たるのか当たらないのか。さっそく試食と参りたいと思います…!

いざ、実食。
牡蠣と茶葉のケミストリー

美しい所作で牡蠣を盛り付ける野間研究員
美しい所作で牡蠣を盛り付ける野間研究員
牡蠣食う研
牡蠣食う研

「茶葉は乾いた状態のものをそのままコットンオイルに入れているんですよね?なんとなく固そうですが大丈夫でしょうか」

野間研究員
野間研究員

「口当たりが気になる方はいらっしゃるかもしれません」

鈴木研究員
鈴木研究員

「水で戻してから入れたほうがよかったですかね?いや、それだと油に余計な水分が入っちゃうか。…まあ食べてみましょう!」

まずは茶葉0.5g Ver。

茶葉ごともりもり牡蠣を食べている鈴木研究員
茶葉ごともりもり食べていただきました
野間研究員
野間研究員

「……………うーーーーーーーーん…」

鈴木研究員
鈴木研究員

「これはスモークが勝っちゃってますね…完全に同化しちゃってる」

野間研究員
野間研究員

「そうですね。もっとたくさん入れないと難しいのかもしれません。ただ、茶葉の口当たりはそんなに気にならないですね。柔らかくなっています」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「次行ってみましょう!」

続いて茶葉1.0g Ver。

牡蠣の缶詰を食べる野間研究員と鈴木研究員
ほとんど絵面が変わりませんがご了承ください
野間研究員
野間研究員

「…うん。香りは増しています。少し感じが出てきました」

鈴木研究員
鈴木研究員

「出てきましたね。味がソフトになってる。いい意味でスモーク感が丸くなっているというか」

野間研究員
野間研究員

「はい。味に複雑さが出て来ています。色もよくみると少し濃くなっていますね」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「次行ってみましょう!」

そして茶葉1.5g Ver。

茶葉1.5g Verの牡蠣の缶詰を食べ鈴木研究員の顔つきが変わりました
…おお?鈴木研究員の顔つきが変わりました
鈴木研究員
鈴木研究員

「あ、これはかなりまろやか。味が変わったのが分かります」

野間研究員
野間研究員

「そうですね、いいかもしれない。だいぶ変わってきました。これは入れるなら2.0gくらい入れたほうがいいのかもしれません。複雑な香りが出てきましたね」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「確かに! 正直私、1.5gを食べるまではほとんど味の違いを感じませんでした。これは変わった感じありますね。スモーク感が和らいでうま味が増している気がします。…ただ…正直、このくらい微妙な変化なのであれば、この高価な茶葉をこんなに投入してまで食べなくていいんじゃないかという気もします…!」

鈴木研究員
鈴木研究員

「牡蠣食う研さん何てこと言うんですか!」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「えー!?いやだって、茶葉なしの状態でも十分美味しいですし…!」

野間研究員
野間研究員

「……………うーーーーーーーーん…」

美味しいことは美味しい。味が変わっているのは分かるんです。しかし、牡蠣×紅茶葉のケミストリーを謡うには、もともとのスモークの味が勝ちすぎて、驚きが感じられないというのでしょうか…。ワクワクドキドキで始まった新メニュー開発。このまま収穫を得られず終わってしまうのでしょうか。牡蠣と紅茶は結ばれない運命なのでしょうか。

牡蠣よ…、いや神よ…。と、絶望しそうになったその時!

鈴木研究員
鈴木研究員

「あ!!! そういえば今日、牡蠣の水煮缶も持ってきているんです。あっちでもやってみますか!」

急遽実現!
牡蠣の水煮茶葉仕立て

水煮缶に茶葉をオン
水煮缶に茶葉をオン

そんなわけで、急遽試してみることになった牡蠣水煮缶と茶葉のマリアージュ。開封した水煮缶をしばらく熱し、軽く温まったところで茶葉を投入。いわば牡蠣入り牡蠣紅茶です。果たしてどのような味わいになるのでしょうか。

はい、あーん…

牡蠣水煮缶と茶葉のマリアージュを試食する野間研究員

…んんん??????

牡蠣水煮缶と茶葉のマリアージュを味わう野間研究員
野間研究員
野間研究員

「ああ…なるほど!相性がいいのは水煮かもしれません。これは可能性を感じますね…!

鈴木研究員
鈴木研究員

「(もぐもぐもぐ)本当だ。これで今どのくらい茶葉が入ってるんですか?」

野間研究員
野間研究員

「今0.5gですね。茶葉の口当たりも気になりませんし、もうちょっといろいろ試してみてもよさそうです」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「確かに、これまで食べたどんな食べ物とも違う味がしますね…!グラム数を変えたり、茶葉を入れるタイミングを考えたり、研究の余地はまだまだありそうです」

こうして、牡蠣燻製オイル漬けへの茶葉投入から牡蠣水煮缶への茶葉投入に研究を切り替え始めた野間研究員&鈴木研究員。牡蠣×茶葉の食実験は当初考えていたのとは違う展開で動き始めました。しかし気になるのが、この牡蠣×茶葉の研究が完成したとして、その研究成果である料理は、その後どうなるのか、ということでございます。

野間研究員
野間研究員

「実はですね牡蠣食う研さん。私今、ちょっと考えていることがありまして…。今度新しいお店をオープンするのですが、ゆくゆくはそこでこのメニューを提供できないかなと思っているんです」

牡蠣食う研
牡蠣食う研

「え!新しいお店ですか…!それはおめでとうございます。どんなお店なんでしょうか」

野間研究員
野間研究員

「『紅茶専科 紅一門』といいまして、広島市中区に3月28日にオープンします。オリジナルの紅茶を中心に、世界の様々なお茶を取り扱うお店です。他に、お茶を使用したアレンジティーやティーカクテル、お茶に合う自家製スイーツなどの提供も考えておりまして。店舗で提供するか、缶詰として完成させて購入していただくか、などは今後の研究次第ですが、どこかのタイミングでメニューとして扱えるといいなと思っております」

紅茶専科紅一門
広島県広島市中区紙屋町1-6-9 星ビルB1Fにオープン
鈴木研究員
鈴木研究員

「いいですね…!もう一度、今度は茶葉のグラム数を変えて水煮を試してみますか。最初から缶に封入するとまた味が変わるかもしれませんし」


牡蠣缶詰×紅茶葉で、今までに見たことがない新たな牡蠣メニューは生まれるのか。牡蠣食う研ではこの研究を引き続き追いかけて参ります。牡蠣ングスーン!

撮影:中野一行

本日お邪魔したのはこちら

The Bar TOP NOTE Ⅲ

店名The Bar TOP NOTE Ⅲ

場所
広島市中区紙屋町1-4-3 2F Google MAP
電話
082-258-1277
営業
18:00-2:00
定休
日曜(月曜が祝前日の場合は営業)
WEB
http://top-note.net/

※本記事では出演者の健康確認をした上で、撮影のため一時的にマスクを外しています。

今回の牡蠣食う研究

美味しく食べる。それだけじゃ嫌ッ…!牡蠣の魅力を五感で感じる新商品を作りたい

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担当研究メンバー

RESARCH RESULT


そして遂に、この研究で完成した
白いカキフライが、広島の街に登場!

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